活字では語弊を生みやすい「禁止」のニュアンスを柔らかく伝えるため、顔を合わせられるSMILE CALL(スマイルコール)を活用。
天然温泉 なにわの湯
なにわの湯 副店長 マネージャー 高山 美華 氏
業態: | レジャー施設 |
---|---|
利用プラン: | ベーシックプラン |
設置場所: | 入浴受付カウンター |
---|---|
主な利用用途: | 施設規則の説明、周辺の観光案内、急病人対応 |
2004年12月にオープンし、10年以上愛されている大阪市内の温泉施設・なにわの湯。市内ビルの屋上で天然温泉が味わえるという珍しさと総合的なリラクゼーションを1施設で完結できる手軽さが好評を博し、地元住民のみならず、観光 客からの人気も獲得している。そんな関西最大級の温泉施設にも、いまインバウンドの波が押し寄せており、多い日には1日1000人以上の海外ゲストが訪れることもあるという。今回のインタビューを通して、大阪のインバウンド市場の変化、そして温泉という日本ならではの社交場で生じる文化の違いやトラブルについて、取材を行った。
POINT
- マナーや常識など活字では誤解を生みやすい説明場面で活用
- 周辺の観光情報や急病人対応、トラブル時など、複雑な会話場面でも利用
- 接客のマニュアル化を進めながら、フレキシブルな場面ではスマイルコールを活用し、万全の受入体制を目指す
INTERVIEW
インバウンドの増加はいつ頃から実感されましたか
2014年の夏ごろ、韓国からのお客様が増えたことで実感しました。それまでは、海外ゲストは1日200名ほど、ピーク時でも日に300名ほどでした。しかし、2014年ごろから、毎日コンスタントに500名ほどのご来店があり、団体のお客様が入った日には、1日で1000名近く入ることもあります。
どの国からのお客様のご来店が多いですか
韓国の方が多いです。ついで、台湾・香港・中国と続きます。はじめの頃は、個人旅行の方が多かったのですが、最近は団体でいらっしゃることも増えています。また、2016年に入ってからは、シンガポールやマレーシアのお客様も増えてきている感覚があります。
海外ゲストの対応で、最も困る場面はどのようなケースがありますか?
日本の入浴マナーの共有です。まず、海外にはお湯につかる文化がありません。そのため「かけ湯を行ってから入浴してください」といった独特のルールをご理解いただくことが必要になります。「タトゥーを彫っている方は入浴できません」といった、そもそも入浴を許可できないケースもあります。
自社で作成されたPOPやマニュアルのみでの対応は難しいのでしょうか?
少しでも簡単に理解していただくためにも、簡単な案内シートは作成しています。ただ、それでも来店者が増えると、どうしてもトラブルは増えてしまいます。例えば、服を着たまま入浴される方、タオルで体を拭かずに濡れたまま浴室から出てきてしまう方、ホテル同様にタオルの貸出があると思って来店される方など、日本人とは別の視点での対応が要求されます。このように苦労する場面も増えてきて、対応が追い付かないという現場のニーズとインバウンドからの売上が無視できなくなってきたという本社のニーズが合致して、2015年12月にSMILE CALL(スマイルコール)の導入を決めました。
スマイルコールは、実際どのような場面でご利用されていますか
利用シーンは大きく2つあります。まずは先ほどもお伝えしたマナーの共有。やはり案内シート等の活字情報だけでは伝わりきらないことがあります。特に入浴マナーは「~してはいけない」という禁止のニュアンスを含むことが多く活字では強い否定や強要している印象を持たれがちです。日本の温泉文化、「裸の付き合い」という考え方を柔らかいニュアンスで、端的に伝える際、スマイルコールを利用します。他にもコインロッカーの使い方や返金の有無など、細かなやり取りですが、すぐには適切な表現が出てこない場面でも利用させていただいています。あとは、弊社が掲載されている外国人向けの観光周遊パスには割引チケットがついているのですが、1施設1回の利用制限があり、有効期限の切れたクーポンをお持ちの場合は、使えない旨を案内しなければなりません。そこで不親切な対応をしてしまうと口コミや評判に響くので、丁寧な対応が求められます。
通訳サービスの導入の際、スマイルコールに決めた理由は
サービスの安心感が決め手です。まず、顔と顔を合わせて、お客様と母国語でコミュニケーションを取れるという海外ゲスト側の安心感。そして、スマイルコールは複数のコールセンターを上手く組み合わせることで、通訳スタッフを常に複数確保しているという、施設側の安心感。この2つの安心感が大きな魅力でした。緊急時、トラブル時における外国語での対応に不安があったので、「かけたのに繋がらない」というリスクがないスマイルコールは非常に魅力的に映りました。(※2015年1年間で、オペレータ不在による接続不可件数は0件)また、弊社では英語・中国語・韓国語が話せるスタッフは数名いるのですが、特にお客様が増える夜間や繁忙期は、シフトの関係で、常に万全の言語体制を整えることは出来ていませんでした。何か言語体制を補完できる方法はないかと探していたタイミングでスマイルコールの紹介をいただき、導入に踏み切った経緯があります。
インバウンドの対応で現状抱えていらっしゃる課題はございますか
これまでの日本人客と海外ゲストをいかに共存させるかという部分を課題 に感じています。かつては日本人客が90%以上を占めていたのですが、今ではお客様の半分近くが海外からのお客様になります。そうすると、どうしても海外ゲストで混雑したり、マナー風習の違いで日本人客、海外ゲスト、お互いが快適に過ごせないことがあります。しかし、数日間に渡る日本旅行のうち、たった1~2時間滞在するだけの温泉施設で、海外ゲストに綿密にマナーや風習をお教えすることも出来ません。簡潔に、しかし一定のレベルで、日本文化をご理解いただくことが急務だと感じています。
これからインバウンドに向けて何か取り組む予定はありますか
インバウンド需要のおかげで、利用者数は増え、売り上げも上がっているので、安定した集客が見込める外国人向けの周遊パスへの加盟は、引き続き継続を予定しています。ただ、何かプロモーションを仕掛けるというよりは、今来てくださっているお客様の満足度を引き上げることが先決だと考えています。私は韓国語が話せるので、韓国語のSNSで「なにわの湯」と検索するのですが、かなりのクチコミがあり、意図しないところで、集客に繋がっているようです。しかし、これは裏を返せば、入浴マナーの説明で誤解を与えてしまったり、お客様同士でトラブル等が起こってしまうと、評判に影響が出てしまいます。英語・中国語・韓国語が出来るスタッフは一定数おり、話せないスタッフも、一定の案内に必要な単語やフレーズは覚えて使いこなせるようにもなりました。それでも対応が難しい場面や、月1~2回程度起こったりする急病人の対応などの場面では、スマイルコールに頼りながら、いま来てくださっているお客様の満足度を引き上げる。それが最終的なインバウンド需要の取り込みに繋がるのではないかと思っています。
天然温泉 なにわの湯
- 住所
- 〒531-0061 大阪市北区長柄西1-7-31
- 事業内容
- 温泉施設、リラクゼーション、飲食
- 代表者
- 店舗責任者 猪﨑 之啓
- 従業員数
- 2,096人(2016年3月21日現在)
株式会社ユニコムが運営する、大阪市北区の天然温泉施設。大阪駅から2km圏内に位置する。地上8階まで温泉水を引き上げた屋上露天風呂をはじめ、女性専用岩盤浴などリラクゼーションも備えた総合リラクゼーション施設となっている。大阪市内にあるため、気軽に日帰りで天然温泉を味わえるということで、地元住民や海外からの観光客まで、幅広い層に愛されている。